銃声が聞こえる
その人を漫画にしようとすると
どこからともなく
銃声が聞こえる。
その人を揶揄した詩を書こうとすると
どこからともなく
銃声が聞こえる。
その人こそ戦争遂行の最高責任者だ
と言おうとすると
どこからともなく
銃声がきこえる。
その人の存在そのものが錯誤であり
民主主義に反すると言おうとすると
どこからともなく
銃声が聞こえる。
広大な闇をつんざく
銃声一発。
ライフル銃の引金を引いたのは誰?
銃を背にして
詩人の脳髄のクレバスを
するすると攀じ登ってくる
あの狙撃手は
だれ。
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